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母艦 |
2010/01/15(Fri)
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暮れも押し迫った夜、あるイタリアン・レストランでの会話。 女は気まぐれに、とあるサイトの出会い系掲示板にプロフを乗せていた。 それはSM版でもなくポチャ系サイトでもないごく普通の掲示板。 気まぐれに仕掛けた網(プロフ)に何人かの男が引っかかり 片手間に交わすメールのやりとりから、女はある男の誘いを受けた。 会うこと自体に特に意味はなく、ただなんとなく気分転換したかっただけだった。 男はシルバーグレイの髪が目立つ、上背のある岩城滉一風のちょい悪系オヤジ。 いかにも遊び慣れてはいるが、意外と硬派なのはマリン出身だからと後で知る。 かなり飲める口で、飲み友としてもそこそこ楽しめるタイプ。 待ち合わせ場所の改札から、二人はエスカレーターと階段を降りて 横道にたたずむイタリアン・レストランのカウンターに並んでかけた。 辛口のスパークリングワインで乾杯し、女が持ち込んだ赤ワインをグラスに注ぎ あつあつのラザニアをつつきながら、酔いが回って少々ゴキゲンになった男が 女に向かって熱く「男論」を語りだした。 「男ってのはね杏さん、やっぱり戦闘機なんですよ。」 え?「船」じゃなくって「戦闘機」? 「仕事や遊びに飛び回っていても、しょせん帰るところは航空母艦しかないんです。」 港じゃなくって、航空母艦...ね。 なんだかでかそうだな。 「航空母艦は多少の嵐でもびくともしないんですよ。」 まぁ、そうだろうね。 「相手の女性にも、そうあって欲しいと男は思うんですよ。」 母艦のようにでかくなれ、と。 「少しくらいのよそ見は気にしない...みたいな。」 他の戦闘機(男)が着陸しても気にしない...みたいな。 「そんな大らかな感じでいて欲しいな、と」 これ以上、カラダが大らかになるのは困るけど、ね。 「男に、目移りするなと言うのは息をするな、と同じなんです。」 そうだね。 「わかってくれますか!嬉しいなぁ♪」 うん、私もそうだし。 「女性にはなかなか理解してもらえないんですよねぇ。」 そう、なかなか理解してもらえないよねぇ、男性には。 「どんなによそ見したって、給油するために必ず母艦に戻ってくるんだからね。」 で、給油したらまた出かける、と。 「男はよく遊び、よく働けです。」 私も行くならとことん行ってこいって言われてるよ。 「こんなに理解のある女性って珍しいですよ。握手していいですか?」 どうぞ。 「ちっちゃくてやわらかいね~」 あれ?どっかで聞いたような.... 「カラダも柔らかそうだよね。」 これもどこかで聞いたような.... 「杏さん、俺の母艦になってくれませんか?」 甲板にはもう何機も停泊中だし。 まだスペース残ってたかな? 「急ぎませんので、ゆっくり考えてください。」 ゆっくりしてるうちに母港に戻っちゃうかも。 「いい返事待ってますよ。」 まぁ....考えとく。 酔った足取りで男と女はからまるように階段を上り、名残りを惜しむ男を残して 軽く右手を上げると、女は改札の中に消えていった。 流れる夜景と己の姿を車両の窓に眺めながら女はぼんやりと思いをめぐらした。 女は港、男は船.....よりはちょっとまし? なにせ母艦には大きな甲板があり戦闘機を何台も留められ給油し放題。 その上、大きなエンジンを搭載し好きなところに行き放題。 見渡す限りの大海原で好みの戦闘機だけ停泊させて気ままに航海.... なんて、ちょっといいね。 航空母艦【熟桃】、発進! 注) 文中の「杏」は私こと熟桃のとある掲示板でのHNです。 |
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